こんばんは。介護福祉士のハレくん(@harekunoku)です。
訪問介護をやっていて1番困るのが、利用者さんの物盗られ妄想です。
物取られ妄想とは認知症の周辺症状の1つで、例えば、昨日捨てた物があったとして、捨てた事を忘れて、『無くなっている!誰かに盗られたんだ!』と思ってしまう事です。
まぁ仕方ないですよね。本人からすれば、確かにあった物が無いんですから、誰かに盗られたという発想になるのも無理がありません。
しかしこれ、訪問介護員からすると非常に困るんです。盗ってないのに盗ったと言われ、その事をデイサービスやご近所の方に幅広く伝えられる事があるからです。Twitterのように。
言い方としてはこういうパティーンが多いです↓
「机の上に置いてあった時計が無いのよ。今週はヘルパーさんしか来てないから、あの子が犯人なのは分かってるんだけど、証拠がある訳じゃないから今回は目を瞑ろうと思って…」
はい。盗った感満載になってしまうんです。その言い方で盗られてない訳がないですよね。盗られてないんですけど。
利用者さんの立場に立ってみると、『しょうがない』ってなるんですが、訪問介護員の立場に立ってみると、『勘弁してくれよ…』ってなりますよね。
この問題について僕が個人的にどう思っているかと言うと、『盗ってないんだから何処で何を言われようと気にする必要が無い』なんですが、気にしてしまう人もいるでしょうし、物盗られ妄想を発生させないに越した事はありません。
という事でここからは、認知症の周辺症状を発生させない術、物盗られ妄想がある利用者宅に訪問する際の攻略法について書いていきたいと思います。
①鞄を持っていかない
訪問時に鞄を持っていかない事は、物盗られ妄想の軽減に効果的です。「鞄は持たない主義なんです」という発言を、訪問の度に会話の中で何度もすると更に効果はUPします。
鞄を持っていると、『私(利用者)の家の物をヘルパーが鞄の中に入れて帰った』という発想を生んでしまう事があるからです。鞄持たないキャラを利用者さんの中に定着させる事で、その発想が無くなり、物盗られ妄想の発生頻度は下がります。
リピートアフターミー
「私、鞄持たないので」
②頻繁に無くなる物には電波で音が鳴るキーホルダーを取り付ける
無くなったと訴えられる物は、大体いつも同じ物です。財布や携帯電話、時計、家の鍵等、持ち歩く事が多い物がよく無くなります。
そういう物は探せばすぐ見つかる場合が多いんですが、ご利用者が家で1人の時、ご自身で見つけられない時に、『あのヘルパーが…』となってしまうパティーンが往々にしてあります。
それを回避するために、音が鳴るキーホルダーを付けてもらいましょう。付属のリモコンのボタンを押すと、『ピピッピピッ』と音が鳴る小さなキーホルダーがホームセンターやネットで購入できるので、本人やご家族と相談の上、購入して活用してもらいましょう。
キーホルダーの使用方法はメモに書き留め、そのメモは冷蔵庫に貼るなどし、その隣にリモコンもマグネット付きのケース等に入れて冷蔵庫に貼り付けておきましょう。リモコンが無くなったら元も子もありませんからね。
③家族の協力を得る
既に捨ててしまっている物など、絶対に見つからない物が無くなったと言われた時は、ご家族の協力が得られる場合、電話等で協力してもらいましょう。
「掃除した時に私(家族)が捨てた」とか「お母さん前に捨てたって言ってたじゃない」みたいな事を言ってもらいましょう。同じ事でも、ヘルパーが言うのとご家族が言うのとでは、信頼度が違います。
それによって、ご家族に対して少し怒られたり、捨ててしまった事を後悔される場合もありますが、『誰かに盗られた』という不安を抱くよりもご利用者の精神状態はよっぽど良いです。
④無くなったとされる物がどうなったかメモ書きを貼る
ご家族に協力してもらった後等、ご利用者が一旦納得したタイミングで、無くなったと言っていた物がどうなっていたかの事実を利用者宅にあるメモに書き留めておきましょう。
例えば、『フライパンは娘様が以前来られた時に捨てています。娘様に確認済みです。』というように、日付と共に書き留めます。
そうする事で、またフライパンが無くなったと思ってしまった時に、そのメモを見てもらう事で物盗られ妄想への発展を防ぐ事ができます。
⑤無くした物を探し出せた時はその事実を何度も伝える
ご利用者さんから、『物が無くなった』と訴えがあった時は、一緒に探す事になると思うんですが、探して見たかった時は、「ありました!良かったですね〜!不安でしたよね。でもいつも一緒に探せば必ず見つかりますね!」といった具合に、探すと見つかるという事をその都度何度も伝えて下さい。
長期戦を覚悟の上、何度も何度も伝える事によって、利用者さんの頭の中で徐々に、『探せば見つかる』という価値観が出来上がっていく事があります。
そうすると、『盗られた』という発想の頻度が減り、『無くしてしまった』という発想の頻度が増えるので、物盗られ妄想の発生頻度は鬼のように下がります。記憶障害のレベルにもよりますが、これはかなり効果があるので是非やってみて下さい。
以上
物盗られ妄想がある利用者宅に訪問する際の攻略法についてでした。
物盗られ妄想を完全に封じ込められる訳ではありませんが、よほど酷くない場合は今日紹介した5つの対策で攻略できます。
利用者さんの精神状態を保つためにも、自分の信用状態を保つためにも、是非意識してもらえたらと思います。
この記事は音速を超える速度で書き上げたので、もし分かりにくい文章になっていたらすみません。大丈夫です。
おやすみサービス提供責任者
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